津軽三味線の弾き方〜右手、バチさばきのいろいろ〜

こんにちは。

津軽三味線 唄うたいの「つむぎ人HIDE」です。


津軽三味線の演奏って、生で聞くとものすごい迫力ですよね!
その迫力の秘訣は、右手のバチさばきにあると言っても過言ではありません。

ただ、以前の僕はプロの演奏を見ていても、バチの動きが早すぎて何をしているのか全くわかりませんでした。

しかし、それでも諦めずにいろんなかたの演奏を見たり聴いたり、時には直接教えてもらったりしていると、だんだんとわかってきました。

今では、どんな難しい技でも正しいトレーニングをつめば、自分も出来るようになると思えるようになりました。

そんな僕が、実演では見えにくい津軽三味線のバチさばきの数々を、わかりやすく言葉で解説させていただきたいと思います。

前バチ、後ろバチ(バチ付け)

一の糸(いちばん太い糸)を力強く叩く時は、「後ろバチ」です。


「後ろバチ」というのは、太鼓のこの辺りで駒の近くの中央あたりを激しく叩くことをいいます。


「前バチ」というのは、この辺りの太鼓のフチのところにバチをそっとおくように弾(はじ)くことを言います。

この時、小指でバチを支えたまま小指の背中のこの部分を…

駒のこの辺りに乗せて(押さえつけて)音の鳴りや響きを減音させます。

 

津軽三味線独特の、一の糸を連続して叩く時は、後ろバチだけを使います。

「二の糸、三の糸を弾く時」は、後ろバチと前バチを交互に繰り返します。

これにより、激しさの中にもメリハリがうまれ、津軽三味線独特の粘るようなリズムが生まれます。

小指で駒を押さえるテクニック(殺し、消し、音澄み)

津軽三味線の「独奏」(三味線一挺での演奏)などで、よくみられるテクニックです。

駒のこの辺りを小指の腹で強く押さえます。

すると、糸の鳴りが駒を伝わって、太鼓で大きく響くのを抑えられます。

繊細なメロディをメロー(柔らかく豊かな響き)に表現するところで、このテクニックを使います。

これは「消し」「殺し」などと、表現されます。ネットを見ると「音澄み」という表現を見つけました。

なかなか、それっぽい表現なので、僕はこれを推奨したいと思います。

「音澄み」で演奏している間、会場は一気に静まり返ります。
そして、津軽三味線独特の流れるような高音の旋律に、観客は鳥肌立っている事間違いなしですね。

すくいバチ

三味線全般の基本的な奏法に、「すくいバチ」というのがあります。

そして、津軽三味線独特の「すくいバチ」の方法で、通常よりも強くすくい上げ、バチを「パシン」と鳴らす「バチ鳴り」というテクニックもあります。

「すくいバチ」とは、通常 糸に対して真上からバチを垂直に打ち下ろすのと逆に、糸の下からすくい上げる様に糸を弾(はじ)くことをいいます。

すくいバチの練習方法

繰り返し練習しましょう。

◯ 後ろバチふたつ、前バチひとつ、前ですくいバチひとつ。
これをリズミカルに「デンデンテンツ」と三の糸を打ちます。

この「」の音がすくいバチです。

すくいバチの練習方法2

繰り返し練習しましょう。

◯ 小指を駒の上に置いての前バチひとつ、すくいバチひとつ、と糸を擦(こす)ります。
これをリズミカルに「ツレツレツレツレ」と繰り返します。

この「レ」の音がすくいバチです。

ポイント

三味線の基本的な技法ですが、慣れるまでは以外と難しいと思います。

初心者の場合、このすくいバチがしっかり鳴っていない時があります。

これは、バチの角度に問題がある時に起こります。

バチの角度は、胴(太鼓)の面に対して水平であることが理想です。
そして、バチの打ち方は、胴(太鼓)の面に対して垂直に上下させることが理想です。

演奏のあいだ、この形を維持する事は大変難しいです。

しかし、上級者になれば、この「姿勢」や「三味線の構えかた」や「バチの打つ角度」が一貫して崩れない凛とした姿で出来るようになります。

押しバチ

基本的なバチさばきに「押しバチ」というのがあります。
津軽物に限らず、押しバチは三味線独特な音色です。
テケテン テケテン」という響きです。


弾き方は、二の糸(真ん中の糸)をひとつ打ちます。

バチはそのまま胴(太鼓)から離れず、三の糸(いちばん細い糸)をひとつ弾(はじ)きます。

それからもう一度、三の糸を打ちます。

これで「テケテン」と響きますね。

慣れるまでは難しいですが、必ずマスターして下さい。
コツは、手首の力を抜き繰り返し練習することです。

そして、楽譜に「押しバチ」と書かれているところは必ず「押しバチ」を使うようにしましよう。

「押しバチ」を使うだけで、三味線独特の音色にうまれかわります。

マンドリン奏法

邪道と言われることもありますが、「マンドリン奏法」についても解説しておきます。

いわゆるマンドリンの様にバチを上下こするだけの奏法ですが、これが結構難しいです。

大会でも、曲の最後にマンドリン奏法を取り入れて、印象的なエンディングを演出している人も多いです。

二枚バチ

最後に二枚バチについて解説さしていただきます。

バチ打ち


曲の最初に一の糸をひとつ打ちます。「デン」と良い音がなります。これを「バチ打ち」と言います。

二枚バチ

続けて、このバチ打ちを2回連続して打ちます。「デデん」と良い音がなります。これを「二枚バチ」といいます。

三枚バチ

それでは続けて、この「バチ打ち」を3回連続して打ちます。「デデデン」と良い音がなります。これを「三枚バチ」といいます。

曲弾きの途中で、この「二枚バチ」「三枚バチ」を取り入れて曲に勢いをつけます。

しかし、慣れるまではなかなかこの二枚バチも難しいですね。

初心者は先ずはこの「バチ打ち」や「二枚バチ」が打てる様に繰り返し練習して下さい。

コツは「姿勢を正し」「胴(太鼓)に対し、垂直にバチ打ちが出来る構え」です。「手首の力を抜き」「弾むようにバチを振り下ろし」ます。

この時、「バチ先から親指に伝わる糸を打ち鳴らす感覚」を意識して下さい。

糸に対して良い角度でバチが打てれば、良い音が鳴ります。

「姿勢」「構え」「バチの握りかた」を変えながら、自分にあった最適なポジションを探して下さい。

姿見(大きな鏡)に、自分の姿を写して、確認しながら練習することをおすすめします。

まとめ

津軽三味線とその他の三味線の大きな違いは、この右手のバチ使いでしょう。

強く打ち鳴らす為に大きく振りかぶったり、極端に音を殺す為に小指で駒を押さえたり。

また、右手親指で鳴っている糸に直接触れてミュートしたり。

考えられる技法全てを駆使して、観客を魅了しています。

僕もあなたがあっと驚くような新しい技法を編み出して、世間から注目される様な演奏家になりたいと、日々精進しています。

これからも津軽三味線の世界が、少しでも皆様の近くにあることを願って。

byつむぎ人HIDE